【ギルドデザインブログ】8耐レースレポート
オートレース宇部Racing Teamへパーツ提供、メカニックサポートを行いました。
結果は20位。弊社としても悔しい結果となりましたが、得るものが非常に多かったレースでした。
ブログにて弊社の部品の報告、レースレポートを報告します。
※今回提供したステップキット、セパレートハンドル、エンジンカバーは通常のJSB1000で使用している部品になります。昨年末サポートのご相談いただいた際に8耐参戦の話も聞いていたので、MFJ、FIMの競技規則に則り製作してきました。
遡ること6月。事前テストからサポートに入り、パーツの確認を行いつつ、メカニックサポート(ピット作業ではフロントアクスル交換)という立場で参加しました。
チームに初参加のバリー選手は現役Moto2ライダーということで期待が膨らむ部分もありながら、初めての鈴鹿走行ということもあり、期待と不安が入り交じる中での走行になりました。
アンソニー選手は数々のMotoGP/500cc、Moto2/250cc、125ccなど多くのレースに参戦した経験がありますが、弊社パーツが組み込まれたバイクで走行するのは初めてです。
この2名に加えて多くの経験を持つ津田選手という3名の布陣で参戦です。
順調にテストを重ねる中、バリー選手がスタート直後に転倒しましたが、幸いマシン、ライダー共に軽症で済みました。
この転倒で右側カバー、ハンドル、ステップが破損しましたが、各パーツの機能を果たす結果になりました。
クラッチカバーは高速走行中からの転倒で、サーキットの路面と擦れながら滑走するようなかたちになりましたが、エンジン本体への損傷は見当たりませんでした。
セパレートハンドルはパイプ本体が屈曲することで、再スタートが可能でした。
耐久レースの場合は転倒した場合、ピットに戻り復旧し、走行を再開しなければなりません。そこで折れないような構造が求められます。また、フォークにクランプする部分も耐久仕様というクイックリリースタイプを開発しました。クイックリリースタイプの場合はトップブリッジを外すことなくハンドル交換が可能なため、耐久レースなどで使用されています。
ボルト2本で脱着可能
ステップバーも耐久レースなどを考慮した形状になっており、先端が折れることで転倒後の走行も可能なステップバーです。
GILDdesign、Gcraftのステップバーも提供パーツと同様の形状になります。
上記写真の「穴」「スリット」から折れる形状のため、転倒後も無事コースに戻ることが可能でした。
また、耐久レースではピット時間も重要になってきます。
ライダーが1分1秒刻むのと同様、ピット作業でも時短できるように各パーツの改善を行いました。下の写真のパーツはリアホイール脱着の際、チェーンを引っ掛けるプレートです。高さ、幅を微調整しつつ、レギュレーションに合致した形状で製作しました。
その後は大きなトラブルもなくテストを終えることができました。
・19日(金) 予選
トップ10トライアルに出場するためには上位2名のライダーの平均タイムが全チームの中で10位以内に入らなくてはいけません。水曜の練習走行で各人ロングラッププラクティスを行っているとはいえ緊張する瞬間です。
スプリントレースだろうが、耐久レースだろうが走行中にパーツに不備が生じないか不安になりつつも、走行中はラップタイムモニターを凝視しました。
津田選手
アンソニー選手
バリー選手
結果は総合7番手で無事トップ10トライアル出場。
チームにとっては2年連続という好成績に貢献できました。
・20日(土) トップ10トライアル
この日は練習走行、トップ10トライアル。
トップ10トライアルの場合、1周での走行で順位が決まります。ライダーはこの時のために集中し、走行に挑みます。その気持に応えるためにも自分にできる整備を行いました。
チーム全員で記念撮影。このチームに携わることが可能になったのも、全日本モトクロスで活躍しているIAライダー小島庸平選手からの紹介です。弊社はモトクロスでのハードな路面でも対応できるステムキット、ブレーキペダルを小島選手(ベルズレーシング)に提供しています(Gcraftブランドでのサポート)。現在弊社ではモトクロス、そしてロードレースで得た知識を元に商品へフィードバックしています。
トップ10トライアが始まり、1番手は津田選手。暴れん坊将軍を封印し、ホワイトスコーピオンの「眼差しSniper」が流れる。(ピットの中で走行を見守っていましたが、緊張のため全く聞こえず・・・)。2分7秒台を記録ししますが、上位陣は更にタイムを縮めてきます。
第2走者のバリー選手。ひらひらとマシンを自在に操るライディング。時にスライドしつつ、身体をコーナーに入れ込みタイムを縮めていく。2分6秒562で総合7番手でトップ10トライアルを終えることができました。
・21日(日) レース
8時間耐久レースが始まる。前回のテストなどで発生した不具合を改善したパーツを投入したので8時間耐えてくれるはずと思いつつも胸は高鳴りました。
午前11時30ル・マン式スタート決勝レースが始まりました。
順調に周回を重ねていく津田選手。
レースがスタートするとメカニックは見守ることしかできません。
事前に練習したピットワークも順調に進み周回数を伸ばしていきます。
バリー選手も適応能力が高く、スムーズな走行で順位を上げていきます。
自身のヘルメットでは熱対策が不可能と判断し、バリー選手のヘルメットを被り走行するアンソニー選手。
レースも終盤に迫った開始7時間30分過ぎ。ここまで安定した走行を刻んでいたアンソニー選手がデグナーで転倒。
ピット内では映像を確認をすることができず、慌ただしくなっていきます。
左ハンドルが折れた状態でしたが、自走で帰還したアンソニー選手からマシンを譲り受け、完走目指してマシンの復旧に挑みます。外装を外し、損傷箇所を確認しつつ、パーツを交換。ステップ、ハンドル周りなど交換しましたが、このようなシチュエーションを想定して対策、設計したので、修復作業は短時間(12分)で済みました。
懸命な修復の結果、残り7分で再スタートすることができました。
最終スティントはバリー選手に託してゴールを見守ります。
レーススタートから8時間経過し、チェッカーフラッグが振られます。
総合20位というリタイアせずに走りきれたのはチームが一丸となって取り組んだ結果だと思います。
今回のレースサポートを機に各パーツ開発へ落とし込み改善をしていきます。
最後にレースを走りきった選手と記念撮影。
ウィークからレースまであっという間でしたが、貴重な体験ができました。
オートレース宇部Racing Team様ありがとうございました。